2010年4月28日 水曜日

はじまり、つながる場所

1982年頃波の上宮前にて 母と私
1982年頃波の上宮前にて 母と私

 

 もし、私が写真家だったら。

 

 愛するこの若狭の町並みを撮るだろう。ぼんやりそう思ったのは確か高校生のころ。

 

 写真家にはならなかったけど、この連載のお話をいただいた時、初めに浮かんだのは子どもの頃過ごした若狭の風景だった。

 

 カフェのカウンターに立っていると、色々な人と話ができる。それぞれの世界のなかで生きる人々と出会うたび、この方は子どもの頃どんな子だったのか気になってくる。山のふもとで育った人と都会で育った人はやっぱり何かが違う。土地が人のある部分を育ててくれるとしたら、若狭で育った私はきっとずっと若狭とつながっている。

 

 古いアパートや家屋、芝生のある公園、拝所、神宮、学校。でもすぐ裏には妖しいネオンが光る歓楽街。それらどれもが潮を受け、錆付いた風合いをしている。海が近いのだ。

 

 先日近くを通ったら、海の上で大きな工事をしていた。

 

 変わっていく景色に胸は痛むが、帰る場所であることに変わりはない。

 

 今、私は浦添市港川の外人住宅で夜カフェを経営している。

 

 昼間お店の周りで遊ぶ近所の子ども達を見ていると、ここが彼らの風景であることを思う。

 

 そして共に作り、育つ、毎日を思う。

 

(夜カフェ「rat&sheep」共同経営者)

執筆者:國吉真寿美 | 話の玉手箱

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